ロゴ作成の仕事において、創造性や技術力と並ぶほどに大切な要素が、適切なツール選びです。特にペンタブレットや液晶タブレットでロゴが作成される昨今では、スタイラスペンの性能が作品に大きな影響を与えています。
なかでもiPadユーザーから強い支持を集めているスタイラスペン「apple pencil(アップルペンシル)」は大変便利なツールです。この記事ではapple pencilについての説明と、それを使ったロゴ作成に役立つアイデアを解説します。
apple pencilとは、iPad ProおよびiPad用の入力デバイスとして使える、スタイラスペンです。2015年11月に市場に登場しました。これによって、絵を描いたりメモをとったりなど、ペンによる直感的なiPad操作が可能になりました。
傾き検知と圧力検知に優れ、タイムラグが微小なことで、iPadユーザーを中心に高い人気を集めています。市場にはサードパーティ製のiPad用スタイラスペンが数多く登場していますが、精度や機能が不確かな物が少なくありません。
iPadでスタイラスペンを使うときはapple pencilが安定していておすすめです。
2022年の時点で、apple pencilには第1世代と第2世代があります。第1世代と第2世代のapple pencilは次の点で異なっています。
まず、充電方法です。第1世代はapple pencilの末端に付いているLightning端子から充電します。ペアリングもこの端子を使って行います。対して第2世代ではペンの末端にLightning端子はありません。
apple pencilに内蔵された磁石でiPadの側面に張り付けておくだけで、ペアリングと充電ができます。apple pencilの形は、第1世代は長さが175.7mmの円柱状、第2世代は166 mmで側面に平らな部分がある円柱状です。
ただし、重さはどちらも20.7gです。表面仕上げも少し変化しており、第2世代のapple pencilは艶の少ないマット調になっています。
第1世代と第2世代では対応しているiPadが違うので、apple pencil購入の際には注意して選ぶ必要があります。
第1世代が対応するiPad Proは、12.9インチiPad Proの第1世代および第2世代・10.5インチiPad Pro・9.7インチiPad Proです。
iPadなら第6世代から第9世代まで対応しています。また、iPad Airの第3世代およびiPad miniの第5世代にも対応できます。第2世代は12.9インチiPad Proの第3世代から第5世代、11インチiPad Proの第1世代から第3世代、iPad Airの第4世代から第6世代まで対応可能です。
対応していないapple pencilでも、タッチパネル操作は可能です。
しかし、apple pencilが持つ機能の多くが利用できなくなるので、注意してください。
apple pencilを使うことで、多彩なペン先表現が可能になります。その繊細さは、線の太さが調整できるというレベルを大きくこえています。apple pencilを使えば、筆の質感や風合いでも表現することが可能です。
特にapple pencilは筆圧の感知に優れているので、微妙な力加減であっても、高精度で描写できます。この性能の高さは、スケッチやイラストに限らず、ロゴの作成でもいかせるでしょう。「illustrator(iPad版)」や「Affinity Designer」といった、apple pencilに最適化されているアプリケーションを使えば、その機能をフルに使えます。
さらに第2世代のapple pencilならば、持ち手にあるボタンをダブルタップすることで、いろいろな操作が可能です。例えば、ペンと消しゴムの切り替え、ペンのカラーの切り替えができます。この機能によって、画面上のアイコンをタップせずともできる操作が増え、利便性が格段に向上しました。
ダブルタップは設定を変えることでいろいろな使い方を可能にしてくれます。apple pencilを1つ持っていれば、iPadの操作を全て完結できます。指で画面をたたいたり、タップする必要はありません。ましてやマウスの必要性はまずありません。
タップやフリックも、ペン1つでできるからです。これはモニターを清潔に保つのにも効果的です。指紋の跡が残らないので、いつまでも画面をきれいなままに保てます。複数の機器を使わないでapple pencilだけで操作ができるので、誤作動やミスタッチの確率も減ることでしょう。
また、iPadとapple pencilを合わせれば、まるで紙にペンで描くように、ロゴを作成できます。手を画面につけても描けるので、ペンタブレット特有のストレス感がほとんどありません。なお、apple pencilとiPadがあればクリエイトな作業のほとんどが可能なので、電車の中やカフェなどいつでもどこでも作業できます。
思いついたときに、ロゴの手直しをしたりアイデアが描きこめるので大変便利です。
apple pencilの本体自体は長期間使える丈夫なものです。しかし、そのペン先は定期的に交換しなければならない消耗品です。ロゴ作成など、画像を作成すると摩耗が進みます。最終的には内側の金属部分がむき出しになってしまいます。
金属部分がiPadの画面に触れると、液晶に傷をつけかねません。なるべく早いタイミングでペン先は交換しましょう。特に、ペーパーライクフィルムをiPadの画面に貼っている場合は、摩耗しやすい傾向があります。
なお、交換用に販売されているペン先は、第1世代・第2世代とも同じ製品です。
iPadをペンタブレットのように使えば、Mac上でapple pencilを使うことも可能です。大きなモニターでチェックしながらロゴを作れば、細かい部分の見直しや色調補正が捗ります。ペンタブレット化する場合には、Mac本体とiPadの両方に「Astropad」というアプリケーションをインストールしなければなりません。
このソフトはMacのモニター上の画面と同じものをiPad上に表示します。apple pencilとセットで使えば、iPadの機能とその精度の高さがいかせるので、ロゴ作りの効率が高まります。なお、サードパーティ製のスタイラスペンを使うことも可能です。
ですが、iPadで使える機能が制限されることが多いので、apple pencilの利用をおすすめします。
apple pencilが持つ繊細なペン先の機能を使えば、手描き風のロゴを作ることも難しくありません。そのための準備は「Adobe Fresco」を用意することです。Adobe Frescoは「Adobe Creative Cloud」を利用しているユーザーのために、無料配布されているアプリケーションで、デバイスを問わず使えます。
Adobe Frescoを使えば、さまざまな形式のペンを使えます。apple pencilの筆先の繊細さでこのツールを使えば、手で書いたとしか思えない線を描くことが可能です。さらにAdobe Frescoで描いたロゴをアプリケーション内のブラシで加工していけば、実にリアルな手書き風ロゴが作成できます。
Adobe Frescoはapple pencil用に調整されているため、互いの相性が非常によく、ラグを感じさせることがありません。筆圧やペンの向きといったタッチを、余すことなく表現できます。
apple pencilはiPadユーザーを中心に高い人気を集めているツールです。大変優秀な性能があり、iPadでロゴ作成するのに最適です。ただし、第1世代と第2世代と呼ばれるapple pencilは対応しているiPadが違います。
購入する際には、間違えないようにしてください。iPadをペンタブレットのように用いたり、手書き風ロゴが簡単に作れるといった、apple pencilの性能を利用したアイデアを使えば、さらにロゴ作成の仕事が捗るでしょう。